◇滝見と山登り◇ 福島県西郷村 一里滝沢右俣天水滝他へ 2013年 10月 28日 訪問 爺 (時間やルートは参考にしない事) |
魔法使いさんから阿武隈川周辺の(滝に関する)資料をいただいた.当然、前々から気にしていた一里滝沢の滝群も載っている.紅葉が特に綺麗で、この時期を逃す手はないと考え即決出掛ける事にした.天気は快晴.ま、良い天気という日を選んで出掛けるのであるから、当然と言えば当然だけど. 紅葉は丁度盛りとみえ、橋の上には数人のカメラマンがいて、朝日の当たる山の斜面を一所懸命撮影している.紅葉狙いだとこの時間は色温度が高いから赤は赤でもクッキリした赤は得られないだろうが、今のハイテクデジタル一眼は補正とかで撮れてしまうのだろうか? いや、山全体を(赤富士みたいに)赤く撮っているのかも知れない.などと珍しく想像しながら、橋の下を歩いて林道から一里滝沢出合い付近に入渓. 沢は水量が多く徒渉するには膝まで濡れなければならない様だった.こんな寒い朝に早速濡れるのは何だかな〜・・で、出合いを少し上流に行くと水量が減少し足首程度で済みそうな所があった.出合い付近にはF1(ヤナノ滝)があるのを判っているので、本流左岸から沢に下りようと思ったが簡単に下りられない.そのまま一里滝沢の右岸尾根を巻いてF2(多分)の上に出てしまった. F1、F2は簡単に来られるので(今日の帰りか)いずれ後で再訪の際撮ろうと一里滝沢の遡行を始める.沢は広く結構明るいゴーロ沢でそれ程遡行に困難はない様にみえる. ※F・・ と滝名は資料による |
真っ白な雲を抱く旭岳、上の黒いアーチは国道の橋 |
一里滝沢出合上流の本沢、水が多かった |
F1,F2 も巻いてしまったかな |
一里滝沢の様子 |
綺麗なくの字小滝など、足は止まる |
紅葉黄葉の間から上の方に白い飛沫が見えた.左岸枝沢の大滝(一里滝)だろう.案外近い所にあるものだ.近づいて見ると、やや傾斜のある沢の上に滝がかかっている.上段は木で見えないが結構大きな滝だ.どうやら滝と見える部分は概ね上の3段か.下にも溝を切って落ちているから4段かも知れない.全体を撮る事はちょっと無理の様.完全に木々の葉が落ちた季節なら、上の方まで見えるかも知れない. 対岸斜面はきつく三脚を立てるのに苦労する.そんなこんなで一時間以上滞在し、駄目フイルム撮影を量産して満足(笑).一里滝沢本流に戻りゴーロ沢の中や、両岸を歩いて遡行を続ける.晴天の日光が沢の中にまで差し込み暖かくなってきた.出る時は寒かったので、薄いジャケットの下にベストを着込んできたが、汗をかく前に脱いだら丁度良い.沢を塞ぐ様にF5(黒滝)が現れる.右を簡単に巻け上に出る事が出来、このすぐ右から今日の目的である右俣が流れ出ていた.右俣はすぐにV字状になって小滝をかけながら傾斜を増していく様だ.両岸の上には紅葉が陽光に輝き鮮やかだった. |
支沢 F3,F4 「一里滝」 100m位あるという 上は見えない |
「一里滝」 中段部分になるのかな |
紅葉が盛り |
F5 一里滝沢「黒滝」 この上流で右俣が合流 |
右俣 F6 「深山滝」 |
深山滝左岸の紅葉 |
トラバース斜面 |
深山滝の頭 |
右俣 F7 が見えてきた |
入って間もなく、滝が出てくる.F6(深山滝)は、滝下では上段がほぼ見えない.落差は(2段)7−8m程でそれ程ないが、綺麗な滝である.この滝の上には、左のザレ斜面を少し登り滝左にある岩稜の間へ向かってトラバースするが、掴まる物が殆どないので緊張を強いられる.滝頭の沢に下り、遡行してすぐにF7 「天水滝」が見えてくる.これも滝下では上段が頭しか見えずフラストレーション気分.枝沢の右岸尾根なら全貌が見えるかも知れないと、草付きの急斜面に取り付いたがズルズル滑り登れたもんじゃない.時間がかかりそうなので、そう広くない滝下からの撮影に留めたがそれでも結構時間を費やした. 左枝沢を少し遡り、その左岸急斜面に取り付く.簡単に巻けて2段目か上段の滝下に下りられるのではないかと期待したが、ルンゼをトラバース出来ずそのまま大きく追い上げられてしまった.これは失敗だったと思ったが後のカーニバルで、上流の二俣(だったと思う)にやっと下りる事が出来た.此処は左岸の方を巻けたのかも知れない.まあ、又訪れる理由が出来たのでこれはこれで良し(笑) |
F7 右俣「天水滝」 |
天水滝 上部が見えそうで見えない・・・ |
とにかく紅葉が、、、高巻き中 |
F7 の上流、二俣から右へ入って |
二俣を見て右にしようか、左を遡るか迷ったが左へ行くと南沢源頭は遠くなる.すぐに割り切って右へと歩を進めると何となくこちらの方が水量が多い気がしてきた.沢は概ね平凡になり水量は少なく倒木も多くあったりする.右岸、左岸にはブナが多くありどの木も紅葉していて、緑色をしているのは林床の笹藪だけ.だが、それも僅かで沢は狭められ右岸の崩れ易そうな岩壁の下を通過するのは、あまり気持ちの良い事ではない.大きな木が沢を塞ぎ、これは困難かと一時笹藪高巻きを覚悟したが、左岸に(流水で洗われたらしい)流れの後があった.これはラッキー.上はゴルジュになり前方に細い(チムニー)滝が数段になって落ちていた. 近寄って見ると、とても登れる様な感じではないし、右岸は例によってガラガラの崖.左岸は草付きの急斜面.丁度お昼なので思案がてらサンドイッチを食べる.下流を見ると結構高さがあった.空が狭いのでGPSは衛星を捉えられるか判らなかったが、すぐに反応してくれた.場所は.右沢に入っておよそ1350m付近だった.地図では二俣の様になっているが、右はルンゼで下の方は掴まる物がないズルズル斜面.その中間尾根に取り付いて少し登ると、えっ? チムニー滝の左に2段の豪快な滝が見えるではないか.下からだとガラガラの崖に隠れていて全く見えなかったが、これは右沢再深部のF8だった.よく観察してみれば、下流の水量に比べチムニー滝はかなり少ない事に気付き、残りの多くの水はどっちから? てな疑問が浮かびそうなもんだが、そこはアホ爺.目の前しか見てないでこんな滝(チムニー)があったのね.と、持っていった資料も見ずに通り過ぎる所だった.(実はこのチムニーがF7でこのの上流に最深部の滝F8があると思ってしまった) 斜面の途中でザックを下ろし、注意深く足元を確保.数枚を撮影して小尾根に上がった. |
チムニー滝、この左にF8 があるのだが全く気が付かなかった |
F8 右俣最深部にある滝 |
この小尾根は急だが笹や灌木が多くあり根っこに掴まり、根っこに足を掛けながら登れるので不安はない.1420m付近から傾斜はやや緩むが胸丈の笹が多くなってきた.但し、笹藪の中に鹿道があり登るのにそれを辿って行く.尾根の左からは沢音が聞こえるので、そっちの方へ移動していくと沢へは急斜面を下りなければならない様だ.尾根に復帰し傾斜が緩むにつれ背丈程の笹藪との格闘が始まる.1500m付近に登り出て、斜面はほぼ平になった.前方に旭岳がハッキリと見え、ブナの疎林に笹の海.景色は見事だがこれを歩くのかと思うと気が重い.鹿道もどっかに行ってしまい見当たらない.時間は既に午後1:30頃.これでは南沢はとても無理な話だ. 地図で見比べて見ると、南沢の源頭近くへ行くのと、まっすぐ(須立山)登山道を目指すのと同じ位の距離だ.何の異論もなく登山道に向かってひたすら笹藪を漕ぐ.藪は時々薄くなったりするがそれは僅かで、概ね背丈から時には3m以上の高さになり、周りが全然見えなくなってしまう所もあった.倒木の上で休み、旭岳を前方に確認しては前進を繰り返したが、中々厳しい.いつの間にか右方向や左方向にずれたりしていて、軌道修正を図るので、輪をかけた足の遅さに時間は掛かり放題.それでも、登山道へ出る事が出来ればヘッデンでも何でも安心して歩く事が出来る、、、と、早くも暗くなる事への言い訳を頭に描きはじめた. |
1500mに向かって笹藪の登り |
上を見上げると笹の葉 |
背丈を超える笹の海、倒木に乗って旭岳を確認 |
シラカンバ手前の倒木で休憩、ここから僅か2−3分で登山道だった (カーソルで登山道からこの木の画像・・こんなに近かった) |
一本の形の良いシラカンバの手前に倒木があり、それに乗って前方を見るが登山道らしき切れ目は見えなかった.まだ先か・・・と少し休憩してエネルギーを補給.ズボンのベルトを締め直して笹藪に飛び込んだ.相変わらず身体がスッポリ隠れ前方が殆ど見えない.2−3分も歩いただろうか、いきなり開けた所に転がり出た.これまでも笹の中に水溜まりやヌタ場の様な切れ目があったのでそれかと思ったが、何と登山道だった.辛い藪漕ぎで疲れた重い身体が軽くなり一番嬉しい瞬間である. チムニー滝からおよそ2時間かかってしまったが、この後の行程は登山道歩き.甲子山経由になるが、明るいうちに駐車地へ辿り着ける事は確実.この辺り(1580m付近)の木々は殆ど葉を落とし紅葉はない分明るい.道は南沢の源頭付近を横断するがそこでは水が結構流れていた.所々ロープが設置されている道をかなり下って又登り返すと甲子山の山頂だ.見晴らしが良く真新しい標柱に立派な山の方位盤が設置されていた.旭岳の後ろに陽が隠れ、山はシルエットに.涼しいので登りでもあまり汗はかかなかった.口に水を含み再びぐるっと初めて見る風景を遠望.甲子温泉へとゆっくりと下って行く. |
甲子山 山頂 |
山頂からの展望 北西方向(だったかな・・) |
太陽を背にした旭岳 |
登山道で見た紅葉 |
当レポは
写真撮影だったり適当に歩いたりで、時間やルートは参考になりません.
仮に当レポを見て行かれる場合は予め情報を収集していただき、計画を
充分に立ててから実行して下さい.