◇滝見◇

福島県檜枝岐村
三輪滝

(みわたき)

                  



2011年 5月 25日 訪問


(時間やルートは参考にしない事)
              
 今回は福島.栃木県以外の滝レポは秋田以来.特別な意味はないのだが、甲子(かし)というと栃木県との県境に近く、東北自動車道を使用すると奥鬼怒へ行くより早く着いてしまう.この甲子トンネルの近くに滝マークが二つあるのだ.「三輪滝」と「釜滝」.最近きださん(福島簡単滝巡り」が訪問していて、そのブログによればなかなか見応えのある滝らしい.遡行時間もそんなにかからない様だ.支沢にも滝があってうんうん(^_^).


 仕事とか中々予定がつかず前日夜迄行けるかどうか判らなかった.何とか都合がつき、バタバタと地形図(だけ)を持って家を出たのはそれ程早い時間ではなかった.東北自動車道を北上し塩原から三依、田島と走り下郷町で289号(いわゆる甲子道路)に入る.此処でとんでもない間違い.目的は観音川上流なので地形図には載っているが、新しい道路は(勿論甲子トンネルも)表記されていなかった.そんな事はつゆ知らず、どんどん走って長いトンネルを抜けた辺りでこれはちょっとおかしいぞ・・・と.それでも地形図では観音川は道路の右を流れている筈.しかし、右は概ね山.しかもトンネルが3つもある.途中に大黒屋温泉の看板.あんれどうなってるのん?


 ん! さっき通った橋の下の沢は? 一旦その大黒屋看板をそっちに行ってみると、沢があるが地形図の観音川とは様子が違う.GPSで確認してみると、滝の位置からかなり南側にいる.予備知識を入れてこなかった事を後悔しながら戻って、そのまま289号を東走.二つばかりトンネルを過ぎたところにパーキングがあったので、駐まって家に次男に電話.「あたしゃ何処にいるの?」


建物の向こうに駐車 12:45


右岸台地の小沢


釜滝 13:25


釜滝の上の堰堤


摂理壁が崩壊している場所
  地形図の他に道路地図もあった方が良かった.旧道入り口がどこかよく判らず、仕方がないので甲子トンネルを戻って入り口近くの沢に架かる橋から、その側の砂利道入った.空き地に車を駐め、支度をして2段の堰堤に向かう.左に巻道があり、堰堤の上に下りると沢は穏やか.大きな岩もなく小さな魚影が走るのを見ながら遡行していく.右岸左岸にはニリンソウがポツポツと咲いていた.
 福島の沢は足尾や日光の沢とは空気が違う気がする.水は日光足尾の方が綺麗なのだが、植生はこちらの方が遙かに豊に思えるのだ.植物学者じゃないから詳しい事は判らないが、何となくそう感じるのだ.右岸の崩壊(小規模)斜面にはウドが生えていた.栃木でこんだけ立派なものはあまり見たことがない.そんなこんなを楽しみながらGPSに登録してきた「釜滝」の場所が近づいてきた.堰堤が前を塞ぎ、成る程名前の示す通り大きな釜を持った落差はそれ程でもない2−3段の滑滝があった.


滑滝・・・


その上の流れ
  堰堤を越えると左斜面から踏み後が下りてきていて、「ははー、これが旧道から繋がっている道か」と、今更納得.此処までの遡行分約30分のロスだ.堰堤から僅かで左岸に崩壊地を見る.摂理の壁がザクザクと崩れていた.そこが二俣で、本流は右.4−5m程のCS滝があり、積み重なった岩を乗り越えて行く.沢は緩やかに左に曲がり3−4m程の斜瀑は、なかなか綺麗だった.本日初めて三脚を据える.近くではサンカヨウやエンレイソウの花が幾つか咲いていた.
 右岸に踏み後があり簡単に巻く事が出来た.滝の上は滑沢になっているが、水線付近にノロが着いていて良く滑り、危うく転びそうになる.滑床が切れるとミニゴルジュ風になり、両岸が岩で沢は腰位までの深みになっている.きわどい右をへつっても良いが、良く見ると中央に大きな流木が架かっていた.階段状になっている岩を登り、流木を橋代わりに渡ると左側から勢いよく水を落としている滝が僅かに見えてきた.その対岸に一人三脚を据えてカメラを構えている人がいた.こんな時間だから誰もいないと思っていたのでちょっとビックリ.撮影前に少し話をしたが那須から来たという.釣りで良く見かける胴長を履いていた.聞くと、そこのミニゴルジュを沢に入って渡るのでこういうのが必要なんだと言っていた.爺より少し年配.慎重な行動をとる人である.立派!
 
 さて、滝「三輪滝」は30m程の高さから本流の水全部を勢いよく落としているので、距離のない対岸は注意してないとカメラを濡らしてしまう.滝前は広くないので私の持ってるカメラでは全景を撮るのが難しい.それでも、上を撮ったり下を狙ったりと楽しい時間を過ごす.


三輪滝手前、左バンドを通って右へピョン・・・


すると滝が見えた 13:50


落ち口


三輪滝 全景・・・引きが取れず下部がちょっと切れてしまった(汗)

 立派なデジ一眼を滝に向けている(那須の)人に声をかけて先に下る事にした.二俣まで戻り左の支沢に入って行くと、早速滑が現れ摂理状の岩を削りながらやや直角に曲がると、3m程の滑滝がある.気持ちよく越えて行くと概ね3段になる連瀑が見えた.こういう滝の光景(私)は撮影が難しいが、癒し系で素晴らしい.おやつを頬ばりながら三脚を持ってウロウロ.再び楽しい一時である.

 駐車場所の堰堤まで戻ると、胴長を装着した若者が二段の下で釣りをしていた.邪魔をしない様にちょっと下流まで右岸台地を歩き徒渉.そこには老夫婦が佇んでいた.軽く挨拶をすると、おばあさんの方が話しかけてきて滝を見に行ってきたといったら、道のない沢を遡って行くなんてと、驚いていた.釣りをしていた人は自分の息子で、私たちは郡山から来たと話し始めた.原発事故で放射能の値が高く外に出るのもままならない.洗濯物は外に干す事ができない・・孫達は遊びに来ない・・等々.強い口調でもなく誰を恨む様なそぶりでもなく静かに話していた.慰めや応える言葉もみつからず、「時間がかかるかも知れないけどきっと元に戻ります.それ迄元気でいて下さいね」の様な事をいったら、汗なのか涙なのか、、、手のひらで顔を撫でていた.おじいさんの方は沢の流れを見たまま動くこともせず一度もこちらを振り向かなかった.その背中が小さく、とても寂しそうに何故か感じた.おばあさんに別れ際会釈をしたら、何度もお辞儀を返された.


 車に乗る前に、空を見上げた.大きな事がおこった風でもない空気は変わらず清々しい.青い空は新緑を少し過ぎた緑に映えなお蒼く深かった. 駐車地帰着 15:50


支沢、滑滝 14:45


上段部分

当レポは
写真撮影だったり適当に歩いたりで、時間やルートは参考になりません.
仮に当レポを見て行かれる場合は予め情報を収集していただき、計画を
充分に立ててから実行して下さい.

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