滝見

奈良県天川村
双門滝



                  



2019,4,18 訪問


(時間は参考になりません)
              
 時々お邪魔している 「滝の掲示板」 は、主に甲信、近畿以西の滝見好きが集う人達によって運営されている.その殆どの人は沢や滝に精通し、エキスパートクラスも多くいる.私も過去2度参加させていただき、“百選”では見られない滝に連れていってもらった事がある.

 その掲示板で 「迷い滝」 に行くオフ会が開催されるというのが出されていた.「迷い滝」 は時々インターネットでその姿を見ていて、行きたい滝の一つになっていた.ただ、その場所が奈良県では此処宇都宮からおよそ700km弱ある.滝入り口から滝迄のアプローチはそれ程難しくはないにしても、車で走る距離がそれでは二の足三の足で、ほぼ諦め状態ではあった.

 オフが立ち上がり、よしっとばかり参加表明してから さて、往復1400kmを走って行くのだからついでに何処か回ってきましょうか・・と、検討.何と、近くにはあの有名な 「双門滝」 があるではないですか.鎖、ハシゴが多く難関と言われてるらしい.更に、その上には大峰山(弥山、八経ヶ岳などの総称) がそびえている.これを、巡ってくれば更に充実という所か.コースは弥山川とか双門コースとか呼ぶらしい.

 ただ、簡単に言ってもグルッと回って日帰りなど私には到底無理.しかし、幸いな事にコース途中に狼平避難小屋がある.そこで避難小屋を利用し、翌日は弥山から八経ヶ岳、明星ヶ岳を経て「金引橋」 へ下山とする周回をする事にしたが、これなら無理が無いだろう(・・・の様な気がする)


コンビニのある道の駅「吉野路黒滝」 但し開くのは朝遅くの様だ


道の駅にある案内板


駐車地


国道です



国道から.良いお天気です


自己責任で通過します
ごめんなさい!
 熊渡の駐車地には車が一台駐まっていた.車全体に露がくっついている事から昨日辺りから出掛けているのかも知れない.意外に狭く、“落石注意”札があると二日間も置いといていいものだろうか?と、不安になりもう少し先へ行って見る.国道とはいえ狭く、熊渡りから1.5km位行った180度カーブの手前に3−4台駐められるスペースをみつけ駐車.

 支度していると、軽トラックのオジサンが停まって 「漁遊券見せて!」 と、声を掛けられた.釣りじゃないからと、ガードフェンスに立てかけてあるザックを指差すと、「ああ、登山かい.でも登山口は向こうだよ」 「いやあ、あそこに駐めるのはちょっと気が退けて・・」 二日間駐めておくからと付け加えた.「いやあ、平気だよ.多い時は十台近く縦に駐まっているよ.林道歩きは大変だろう」 へえ〜 あそこに十台も・・とは.「ま、林道歩きは平気な質なので」 一応此処は大丈夫ですかね? と、確認.ところで、沢水は多い方ですか?と、訪ねると 「いやあ、全然だよ.今年は少ないねえ」 これで、沢靴は車の中に置いて行くと決まった.お礼を言って別れる.

 林道(あ!国道だったな、此処は) を歩いて熊渡りに戻り、橋を渡って登山届けを出して荒れ気味の林道を歩いて行く.



登山届けは出しておきます 8:00 


林道が崩壊(振り返って)



綺麗な滝が見えました 水は少ない



林道終点 左に下りると沢


明日は此処へ下りて来ます
 林道終点の様な手前に支沢に架けられた橋があり、「金引橋」 の銘板が付いていた.すぐ左に下りる道と、まっすぐいく道があり、下山はこっちへ下りて来るのだね、と少しその道を偵察.地形図に破線路はないから、踏み後+程度かなと思っていたが、案外しっかりした道で安心.終点まで戻って弥山川に下りて行く.

 下りた所は堰堤の上の広い河原で、水は全く無い.上流にしばらく歩いて行くと、岩に赤いペンキで矢印が2本描いてある.右岸を見るとハシゴ、いや橋か? が斜面に取り付けてある.その右手には縦にハシゴが架かっていた.(矢印のある)岩を回り込むと正面に水が僅かに落ちている滑滝があった.大きな滝ではないが 「ガマ滝」 と名前が付いているらしい.滝の名板があるかと探して見たが、特にみつけられなかった.天気も良く、気温も程ほど.気分が良くクッキーを食べながら適当に撮影しておく.

 縦に付いているハシゴは利用できないものの様で、ガレ斜面を少し登り上のハシゴ(or橋)を渡って行く.次は少し離れて一の滝だな、と忘れっぽい枯れ頭に叩き込む.取水堤があって、水を此処から大量に取り込んでいるから、此処から下流には水が流れていないのだ.伏流しているのではないかと思っていたけど.




金引橋が架かっている沢の小滝




堰堤上の河原



水が出てきました


壁に矢印 左上に橋、この岩を回り込んで



ガマ滝



橋を渡る様です


橋桁は湿っていて滑ります
 すぐに連続して鎖やハシゴが出て来るのかなと思っていたけど、そうではなく沢沿いや沢の中を行く.要所々々にテープが着けられ、道を見失う事はない.水は漁協のオジサンが言った通り少なめな様で、徒渉とかあっても問題ない様である.広かった沢幅も遡行するに従って狭くなり、V字状になってきた.更に、ゴーロ岩は大きな形状のものが多くなり、岩越えがそれなりに難儀する.天気が良く乾いた岩で良かった.

 左に涸れ沢を分け、右の大岩ゴーロを摺り抜ける様に登って行くと、上の方に橋が見え更に右手下に鉄バシゴの頭が見えた.近づくとその鉄バシゴは上部が斜面からずれていて使用不能.置くの壁に古いロープが垂れ下がっている.ちょっと使うのは不安なので、少し戻り大岩を登ってハシゴの上に出た.橋を渡り、細い小尾根に登ると道&テープが消え、前は崖になって下りられない.右斜面の2段になっているバンドを木の根を掴みながら尾根を戻る様に通る.すると鉄バシゴがあった.何の事はない、小尾根の取り付き付近にテープがあり、これを見逃していただけの事だった(←高所が苦手な人は要注意)


取水堤 




向こうは砂防用堰堤


登るのではなく横断です



木板より滑らずしっかりしている そう言えば、どっかの橋に山側に寄って歩いて・・の標識がありました



鎖も頻繁に出てきます



沢の中程に生えてる大木.緑の木は間借りの別種



大きな岩が増えてきました


左は涸れ沢 直進します


あ、奥に橋が見えます.その右手前にハシゴ


これでは、ハシゴは使えません.古いロープも不安


橋を渡りハシゴを登って右のテープを見逃し崖っぷちに出てしまった


上のバンドから下のバンドに下り、戻る様に回り込むと・・・
 一の滝に着いて(滝の対面)岩場で休憩する.お昼にはまだ少し早いが少しお腹が減ったので、コッペパンを食べた.マーガリンと何かだったと思うが、好きな粒あんがなかったので仕方がない.ちょっと足りない気がしたけどあまり食べてしまうと明日のおやつが無くなるので、自重.

 一の滝は2段になっていて、それぞれ一気に落ちている、中々見応えのある滝だ.手前に岩のテラスがあり、座ってゆっくり見学が出来る.下段の下は沢下流から遡行してくれば簡単に行ける様だが、此処からはザイルと懸垂道具が必要になる.双門へ行く途中なのだから、此処を主体に来る人以外はこのテラスからの撮影で移動してしまうかな.それには、ちょっと惜しい光景のような気もするが・・・

 簡単だけど滝見&撮影を終え、橋を渡って対岸斜面を登っていると、滝前に人が登ってきたのが見えた.単独の様である.双門まで行くのだろうか.遠目だが、軽装の様なのでいずれにしても日帰りに違いない.


ハシゴの上に出た.何の事はない、テープを見逃してるから無用な苦労


一の滝 11:20



太陽が上に来て、ハレハレ祭り〜




下段部分




どなたか来られましたよ テラス右端.松の枝と岩の間



こういう斜面や、、


木の根の登り
 さて、一の滝から上の方に崩壊個所があり通過困難だという.まあ、そこへ着いてから決めましょうと少し急斜面登って行くと、滝の(下の)飛沫の様なものが見える.踏み後があり、沢に下りてみると7−8m程の滝があった.これは二の滝か? 撮影しようと思ったけど、太陽が真上.コンデジで撮るだけに留める.

 そこを過ぎるとハシゴが連続し、これでもかこれでもか〜 と言うほど出て来る.よくもまあこれだけ整備したもんだと感心してしまう.まあ、これがあるから登高困難な崖でも登れてしまうのだから.フーフー言いながら更に出て来るハシゴを登って行く.あれ!三の滝って何処にあるのだ? もう過ぎてしまったのか?



これ、二の滝・・ですか?



上の滝から下流方向


ハシゴ



ハシゴ




ハシゴ

 「仙人ーテラス」 には新しいものではない様だけど、空き瓶の欠けらや空き缶が捨てられている.少し残念な景観だ  左に何メートルあるか判らない垂直壁を見ながら登って行くと、上部が崩れている斜面に出た.左に踏み後が続き、木の根やシャクナゲを掴みながら回り込む.斜面一帯(そんなに大規模ではない)がめくれ上がって崩れ、ハシゴも巻き込まれていた.こんな山中では補修もままならないでしょう.双門滝など百選を目指している人達にとっては痛手であるに違いない.崩壊場所は双門滝より15分(但し、鈍足の私の足で) 程手前.もうちょっとなのになあ〜 の所だ.

 尾根を乗っ越し、ハシゴを下って鞍部は「仙人ーテラス」 =せんにんがん=と、読むのか? 滝は此処からのやや遠望になる.「双門滝」は岩を削って凄まじい勢いで流れ落ちる“チムニー滝”だ. 少し離れているので若干迫力には欠けるかも知れない.時期的に水量が少ないせいもあるのでしょう.見る位置が限られているから、此処までの行程の疲れが吹っ飛んだ・・・という、感慨までには、、、いたらない(笑)



登る途中左に見える垂直スラブ. チムニーには僅かに滴りが



ハシゴも一緒にめくれ上がり崩壊


木の根を頼りに巻いて登ります ロープ等はありません



崩壊地から 特徴的な山並みが見えます(北方向)



一旦下って


あそこの鞍部が 「仙人ーテラス」 14:10



双門滝



周囲はちょっとゴミが多いですな


滝下の下流方向(俯瞰)



 目標の一つは終えた.次は今日のねぐらとなる狼平の避難小屋を目指す.仙人ーからもハシゴがあり中には下部斜面(ハシゴの基礎となる部分)がえぐれて、ハシゴにへばりつくのに難儀な所もある.枝尾根を乗っ越す所には遭難碑もあった.木の根が多く這っている斜面や鎖補助の岩場を登り、迷ヶ岳の方へ登って行く.“登山禁止”の指導標から尾根を回り込んで、堅固な橋を二つ渡って沢方面に下降して行く.


さて、、


おやぁ〜 ハシゴに上がれっかな・・


遭難碑がありました


今日は暑いですね〜



この橋。頑丈ですよ




凄いな〜 (因みに向こうの尾根を登っていくと迷ヶ岳に行けそう ← 但し、登山禁止)




リョウブですかね. (日光)足尾の山みたいです



フサフサしてます


太い・・
 沢に近づくと、木々の間から三段位の滝が見えた.「三鈷滝」 と言うらしい.全体は見えないが、沢幅一杯に広がってる様な滝だ.この辺りから残雪が少しずつ出て来る.一旦沢に下りる.綺麗な水でイワナが数匹泳いでいた.大きなものではなく、近づいても逃げない.汗を拭き、顔を洗って時刻を確認したらもう午後4時だ.少しゆっくりしすぎたか.まあ、目的地はそう遠くないので焦らない.今日は天気が良いし、もし小屋に届かず暗くなったらビバークでいい.(←ま、そんな必要もあるまい、と、たかくくっている)

 一旦、沢から少し離れ再び沢に下りた所で行き先のテープがみつからない.が、対岸(左岸)に流されて壊れた架け橋の残骸があった.なる程、此処は徒渉か.少し下流に戻って飛び石伝いに対岸へ渡る.ピョンピョンやってる時に不覚にも(胸辺りのザックの紐の)カラビナにくくりつけてあったサングラスが水流の中にボチャン.沢の中央の不安定な岩の上とあっては、即反応出来ずサングラスは沈みながら下流へ勢いよく流されてしまった.

 対岸に渡って、慌ててザックを下ろし下流に急いで淀みとか探して見るが、見つける事は出来なかった.あーあ、まだ一年半しか使ってないのに・・・



三鈷滝?



水平ハシゴ


波板トタンの残骸 河原小屋跡?



全体は見えないけど豪快そうな滝

 サングラスは諦めるしかない.気を取り直して、橋の残骸のある上流へ行くとその右斜面に新しげなテープがあった.おお、こっちで良いのか.と、上を見上げると斜面に点々とテープが付いている.藪も無し、それ程急斜面でもないので登って行く.

 ルート上ハシゴがあり、テープがあり、加えて導標があると頼りになるのはそれらであるから地図など殆ど見ない.これではいけない.ちょっと違う様な気がして地図を出しGPSを確認すると、このやや広い尾根に付けられているテープは「頂仙岳」に向かっているのではないかと思われた.こんな所でこんな時間にロスしてしまった.

 沢に一旦戻って上流方向を見ると、沢の真ん中付近にテープ付きの枯れ枝が立っていた.まだ、空は明るい.多少、薄暗くなっても小屋には着けるだろう.着いたらすぐに一本だけ持って来た缶ビールを冷やさなくては.そんな事ばかり頭に浮かぶ.


この少し下流にサングラス献上(-_-;; 
更に、テープを追って右斜面を登ってしまう


左支沢右岸を間違い歩き 道に見えますよ
 本日の泊用装備
 ツエルト、シュラフ(オールシーズンタイプ)、シュラフカバー、銀マット(ホームセンターで買ったもの) 枕はザイルを丸めた物にエア座布団(っていうのか?)を被せて使用.

 幸い気温はそれ程低くなく、周囲は崖に囲まれているので風も殆どない.身体を拭いて下着シャツを取り替えセーターを着込んでシュラフに入ると、寒さは殆ど感じられなかった.これまでのビバークより良く眠れた方ではないかと思う.
 因みに、足が冷たいと眠れないので毛糸の厚手靴下を持っていき使用.これ、正解!
 やや広い場所に着く.右に小さなテープがあり、河原に出ると正面に黄色いテープが2本巻き付けてある木があった.ピンクでもなく古そうなテープなのに、何の疑問も持たずそっちへ向かう.右も沢で少し上に4−5m程の滝が落ちている(実はこっちが本流で、道筋はその右にある ).黄色いテープに従って左岸樹林に入って行くと、案外歩き易い.残雪も出てきたけど固く沈まないからルンルン気分だ.

 又、滝が出てきた.7−8m位か.かなり、勢いがいい.左岸は崖で通れず、右岸に渡ると今度は切れかけた白っぽいテープが細い枝に巻き付けられてるのを見つけた.ガレ沢を登る様である.が、テープはそれっきりみつける事は出来なかった.不振に思いながら右岸を遡行し、適当な所でGPS確認.あれま、あれま ・・・二俣はとっくに過ぎて、左支沢にいるではないですか.

 4−5m滝のある本流まで戻ると、さすがに薄暗くなってくる.確か此処からも壁に鉄筋を打ち込んで足掛かりにしている場所や、吊りバシゴなどが出てくる筈.まっ暗な中、疲れた足でヘッデン伝い歩きはちょっとなあ、、だ.今日は此処らで打ち切りましょう、とビバーク地を探す.大した苦労もなく、すぐに場所をみつけ、真っ先にビールを冷やす(笑) 簡単に整地して、簡単に食事.カップラーメンを肴に缶ビール一本だけ.ラーメンのつゆにパンをちぎって浸しながら食べる.これで、つゆも捨てなくていい.

 左支沢の奥辺り上空に満月がとても明るかった.



左支沢の滝 これも中々



残雪 左支沢左岸(間違えて戻る途中)


ビバーク地 18:05
 Photo Nikon P7800 二代目 

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当レポは
写真撮影だったり適当に歩いたりで、時間やルートは参考になりません.
仮に当レポを見て行かれる場合は予め情報を収集していただき、計画を
充分に立ててから実行して下さい.