◇滝見と山登り◇

山形県遊佐町
鳥海山へ(1)
滝コース登り〜万助道下降


                  



2014年 9月 12日 訪問


(時間やルートは参考にしない事)
              
  秋田、山形県境(どちらかというと山形県かな)にある鳥海山、実家(北秋田市)帰省の帰り道、日本海側を通る時いつもこの山が目に付く.裾野を長く広げ実に端整、秀麗.遠くから眺めてるだけでも素晴らしい.雪が多いこの地方、当然ながら滝も多い.そのどれもが水量が多く見応えがある(という).そこで、滝見をしながら山登りもついでにやってしまおうと計画.奈曽渓谷や朱ノ又川、月山沢などがあるので一日目を滝見し二日目は山登りとすればゆっくり滝見山行が出来よう.ただ、あれもこれもと欲張ってはどれも駄目になる事が得てして多いから、的は絞らなくてはならない.そこで、深く(迷いながら)検討した結果、月山沢(二の滝コース)〜御浜(又は河原宿)小屋に宿泊〜鳥海山 とすれば鈍足爺でも無理がないだろう.

 では、小屋に予約をとりましょう. プルル 
「はい、大物忌神社です」 「えーーっと、9月12日、御浜か河原宿に予約を入れときたいのですが」 「今年はもう終わりました」 「え!そーなんすか・・・」 ちょっと早くないか、オイ.

 初っぱなから計画変更か、、

 地図には月山沢を挟んで万助道がある.その1000m付近に万助小屋という無人の小屋がある.二の滝登山道で最後の不動滝を拝み、二の滝口まで行ってしまうと面倒なので適当な所で万助道に上がれば、一日目としては楽だろう.その日は小屋に泊まり重い荷物はデポして次の日山登りしよう.うん、それがいい.

 東北道から雨模様の山形道を走り、(遊佐町)一の滝駐車場に着いたのは午後8時半頃.広い駐車場には車が一台駐まっているだけだった.(此処へ来たのは約8年振り)


一の滝駐車場


BBQでも出来そうな施設.右奥にはトイレ


案内板と登山届ポストがある案内所


案内板


一の滝遊歩道 下りきって一の滝観瀑台


一の滝 観瀑台から



 夜通し車の屋根を叩いていた雨も朝方は止んだ.朝飯のカップうどんを食べ、ザック詰めを終え靴を履こうとしたら登山靴用の靴下がどこにもない.確かに用意した筈なのだが忘れてきたらしい.幸いな事にこの登山を終えたら(北秋田市の)姉の所へ行くつもりで、この機会にと下着と靴下を買ってきていた.3枚組の安物だがそれを3枚重ねで登山靴を試してみた.何とかいけそう.重いザックを背負い出かけようとしたらもう一台の車から一人出てきて、やはり出発の支度をしていた.軽く挨拶をして、登山届けなどを記入していたらその間にさっきの人は一の滝の方に歩いていった.ディバッグで少なめな荷物だから日帰りだと思うが、どこまで行くのだろう.(今日会った登山者は唯一この人一名だけだった)
 鳥居をくぐって一の滝はすぐ.少し長い階段を下りて観瀑台だ.二度目とはいえ、初めての様なものだから水が多いか少ないかは判らない.滝前に下りて正面から見たい所だが、その様なルートは見あたらなかった.階段を戻って二の滝へ向かう.歩き易い遊歩道を少し進むと立派な橋がありその上流に二の滝が見える.この頃から陽が指す様になり、成る程普段行いが良いと天の神様がご褒美をくれる、、、などと独り言.
 滑る岩に注意しながら滝前の河原に出ると滝には虹が懸かっていた.うーん、こんなにご褒美はいらないのに・・・ そこから、遊歩道を登って展望台(観瀑台ではなく展望台となっていた)へ.滝頭に造られたそこからは豪快にジャンプする水流が迫力的で、しばらく眺めていた.


二の滝へ向かう遊歩道


橋から この時は青空だったけど・・・


二の滝展望台へ向かう遊歩道の階段


河原へ下りる手前から


巻道の遊歩道から


手前の河原から 真正面だと飛沫がかかり撮影どころではない


二の滝展望台


展望台から見る二の滝の落ち口
 一の滝から二の滝迄は案外近いが、二の滝〜三の滝迄は15分という標識があった.二の滝迄は観光の人が訪れる様だ(以前来た時私もそうだった)が、そこからの遊歩道は気のせいかも知れないが、登山道の状態に近くなる.ただ、二の滝と三の滝の間には、「間の滝」(そのまんまじゃ(笑))というのがあるらしく10分と掛からずに標識のある所に着いた.丁度奥日光のカクレ滝をOPENにした様な形で落差はは7−8m位か.本流の水を一気に落としている直瀑は迫力がある.此処から沢に下りるにはザイルが必要で、何となく物足りない.これは二の滝から沢遡行で滝前に出られるかも知れない.今日は沢装備なしの登山靴だ.としょりの冷水は止めておこう.
 
 周辺はネズコだろうか杉、桧に似ている木肌の大きな木が林立している.そこを過ぎると、滑り台の様な滝やCS小滝、綺麗な滑の流れなど沢装備で滝撮影中心(山登りはしない)の遡行なら、中々楽しいに違いない.栃木から遠いので偵察は大変だからぶっつけ本番になるのは致し方ないが、もう少し事前調査をしておくと良かったかも知れない.ただ、あまり調べすぎてサプライズもないまま感動僅かでは、さすがに面白くない.


まの滝? あいだの滝? かんの滝(は、ないな)


その、間の滝 遊歩道から


間の滝のすぐ上にある滑り台の様な滝です


で、その上にある小滝です


万助道へ抜けられる分岐


で、沢に架かる橋、丈夫ですよ


一瞬考えますね〜


これは三の滝ではありません(多分)


とても雰囲気の良い渓谷です
 三の滝の標識板から滝は見えず沢の方に向かって道が続いていた.お!沢に下りられるのか? と歩いて行くとすぐに行き止まり.狭いテラスで滝を眺めるだけ.何ともストレスが溜まってくる滝見だ(笑) まあ、この三の滝は例え沢に下りられたとしても、三段になって丈夫は左に曲がっているので全部は見られないかも知れない.黒光りする滑岩に水が跳ねながら流れ落ちている.ゴーロとか流木がなく紅葉時期ならかなり綺麗に違いない.私に再訪の時間があるだろうか?(他に行きたい所が一杯あるのです(笑)) そんな事を考えながらテラスの脇に座り込み早いオヤツ(マシュマロみたいな大きさ中位のパン)を食べた.

 さて、重い腰を上げ次の滝へ行こう.急坂もなく程々にゆっくり勾配を上げていく道は滝見物と相まって疲労感が少ない.(無人)小屋泊まりと翌日の山登りに備え、更にプラスアルファの三脚とフイルムカメラの重量は、きつい.しかし、小屋までの辛抱と我慢.


三の滝に着きました


沢の方に道が向かっています


概ね三段でしょうかね 三の滝


此処も沢に下りる事は大変です



 三の滝の次は「玉砕の滝・・・」 いや、よく見ると「玉粋の滝」 (ぎょくすいのたき?) だ. 三の滝からおよそ7−8分.短い距離で次々と現れてくれるから、これだけで道程が捗った気分になる.この辺りから空が曇ってきて、梢から垣間見える遠くがガス加減になってきた.それでも、雲の動きが早く時折陽が差してはまた曇る、、を繰り返す.
 
 5分とかからずに「ガクエの潭」 滝ではなく此処は潭・・ さらに4−5分程で「仙龍滝」 この滝も上から覗き込むのがやっと.


パッと見ると”玉砕”と読んでしまう(笑)


此処までの滝で落差は一番低いかな


がくえのたん・・・資料だと”額絵”とか


その大きな渕


チラリズム仙龍滝です
 これまで沢沿いにゆっくり登っていたが、仙龍滝を過ぎると少し離れ、ブナ樹林帯の中を行く様になる.ブナは大きい物でも直径50cm程度か.2次林とかだと思う.伐採や炭焼きなどが行われたのだろう.しかし、樹林帯としてとても綺麗なのである.空気も濃い感じがして、疲れを覚えない.道の真ん中にある新しい倒木に腰掛け、辺りを眺めながら休憩だ.ガスが次第に濃くなり、朧気に浮きだたせるブナの木はまるで墨絵の様でもある.静かで鳥のさえずりや、鹿の鳴き声等もない.足元には小さな蛙がヒョコヒョコ歩いてるだけだ.

 「高橋伝喜太氏小屋跡」に着いた.(白い)案内標識板がなければそれと判らない場所だ.成る程、この道(二の滝口)は昭和7年に切り開かれたらしい.青いブリキ板には、”見晴らしよし”との追記があったが、周りは背の高いブナ林だ.梢の隙間からガス越しにうっすらと月山沢対岸の稜線が見えるだけ.

 水が殆ど流れてない”森の清水”、小沢を渡り そうこうしている内に雨が降ってきた.


ブナの樹林帯


伝喜太氏小屋跡だそうです


ヌメリツバタケモドキ(多分)がありました


沢を数多く横断します.ダイモンジソウが群生



 上下雨具を着けザックカバーを被せて歩く.これまで快適だったのが、蒸し暑い.ふと、あの分岐の注意看板を思い出した.上の方で雨が降って増水していたら月山沢徒渉は困難になるという.ま、そこまで行って駄目なら引き返せば良いだけの事だし、最後の不動滝がどこら辺かハッキリしてないので、雨が降ってきたから此処で終わりという選択肢もない.道は結構歩き易いのでのんびり登るが、雨が益々強くなってきた.長年使っているこの雨具、一応ゴアテックスなのだがロクに手入れもしないのでとっくに効果は薄れてるのだろう.中まで湿ってきた.

 ”森の清水”の標識板に、龍ヶ滝60分という添え書きがあったが、70分ちょっとかかって”龍ヶ滝”に着いた.この滝はストレス最大値.大きさはかなりの様だけどいかんせん殆ど葉っぱの陰に隠れている.おまけに雨が降っていて最悪.コンデジ3ショットだけで逃げた.その後雨はやや小降りになり、開けた場所を通る様になる.雨空に長坂道が通る稜線が被さる様に迫る.後方には庄内平野(で、いいのかな)がどんよりした雲の下に見えた.すでに地図で対岸に万助小屋がある辺りに来ている様だが、不動滝がまだ出てこない.ま、どっちにしてもこの辺りを徒渉し対岸に渡るのは無理な話だろう.


やっと着いたと思ったら


龍ヶ滝らしいんだけど・・・・見えません


不動滝が見えました かなり遠いですね


龍ヶ滝から此処までは比較的近く10分位


ズーム最大で


月山沢徒渉点



 ちょっとした下り斜面で前方やや左遠くに2段の滝が見えた.二俣がもうすぐで、その左俣の様だ.すぐに”不動滝”の標識があった.遠いのでズームで引っ張り撮影は(雨が降っているので)コンデジのみ.撮影完了、、、と言った満足感は皆無.まあ、こういうのも仕方がない.機会があれば(多分ないけど)沢装備で遡行の真似事をしてみるのも良いかも知れない.それより、この雨だ.本流の徒渉が待っている.大丈夫だろうか?

 本流は右俣らしい.道は沢に向かって下りていた.沢の中の岩は(当然)濡れているが滑る事はなく、沢水も濁ったりなどしていない.上の方に雨はあまり降っていなかったのか.一またぎの所があって靴も濡らさず(雨に濡れてるが)簡単に徒渉完了.心配はなかった.

 本当はこの下流で徒渉し、対岸の斜面を登って万助道に出るつもりでいたが、こんな雨の中濡れまくった藪の中を一人登るってのは正気の沙汰じゃない.此処は遠回りでも千畳ヶ原に出て、万助道分岐から降った方が賢明.別に時間も押している訳じゃない.・・・それなりに掛かってはいるんだけど(笑)


馬の背


ガスの中に滝が見えました


あれを越えると千畳ヶ原


庄内平野は晴れている様に見えます


沢と化した木道(笑)








 ”馬の背”と呼ばれる痩せ尾根への急登は長くない.馬の背自体も岩尾根とかそう言うものではなく、良く刈り払われた低灌木の中の歩き易い尾根だ.雨が木などで抑制されないから、雨具にバチバチ当たるのが難と言えば難.道も半分沢と化している.錆びた標識板があり、かろうじて”馬の背”と読める.こちらは歩く人も多くないのか、取り替えて貰えない様で何となく寂しい.此処は結構見通しが利く様な場所であると思うが先程まで見えていた長坂道の尾根や庄内平野は見えてない.かろうじて、本流上流に滝が見えただけ.

 雨は小降りから木道に出る頃には殆ど止んでいた.此処の上空は黒い雲が切れたり固まったり忙しいが、庄内平野の方は何だか晴れている様に見えた.木道の両側にはいろんな花が咲いている.相変わらずそういう知識に乏しいが撮るのは楽しい.どうせ誰もいないから、濡れた木道に寝っ転がってカシャカシャ.

 雲が切れ時々陽が差してくると風もないから雨具着用では暑い.千畳ヶ原で一応雨具を脱いだ.丁度お昼時、良くこんだけ時間をかけて登ってきたもんだ.通常4時間弱を5時間半 ← 参考にしないでね(笑)


千畳ヶ原分岐、向から上がってきました


辿ってきた木道.青空も一瞬出たりしますが、、、


万助道分岐は、千畳ヶ原からすぐ


万助道、草に隠れてしまってます


先程の雨で溜まったんでしょう









 昼食中誰か来るかなと思っていたけど誰も来なかった.そりゃそーでしょ、こんな天気の平日なんだもの.雲の流れは早く天気はコロコロ変わる.外輪山の方は厚い雲の中だ.今、雨こそ降ってないが何時ザーッとくるか判らない.長居は無用とばかりに分岐から万助道に入るが、鳥海湖へ行く道はハッキリしているのに万助道は河原があるだけ.よく見ると、分岐から河原の右岸5−60mにピンクリボンが1個あった.

 そこに取り付き踏み後(道ではなく踏み後)を辿って行く.途中、斜面一面にシシウドが咲いていたがこれは圧巻だった.千畳ヶ原から見えた白い斜面はこれだった.その他ハクサンフウロや白いシモツケソウか、黄色い花の群生、アザミみたいなもの、ウメバチソウなど結構咲いていて、踏みつけず歩くのが難しい程.

 踏み後の中に1本の標柱が建っていた.ここら辺りは仙人平というらしい.今日お世話になる予定の万助小屋は2.1kmとある.ま、殆ど下りだし丁度良い時間に着くのではないか.

 その時、腹に響く低音のドーンという音が山中に響いた.お、オイ.雷かよ・・・勘弁してくれ!


仙人平から千畳ヶ原


万助小屋


真っ黒蛇さん、頭隠してシッポ隠さず


二の滝駐車場、長坂道の分岐


日本海の落日です(一の滝駐車場へ向かう林道から)
 雷は間を置いて鳴り響く.その内強い雨も降り出した.再び急いで雨具をつけ原っぱから灌木の中の急な下りに入った.少しホッとするがこの道が下りにくい.滑っている様なまるでゴーロ沢もどき.焦らずに降りて行くが何とも歯がゆい.その内水が流れ出し強い雨とその水で全身グショグショ.寒くないだけまだマシ.休憩など取る気になれずグングン下降し、そろそろ小屋も近い辺りに差し掛かって雨も小降りになった.丁度樹間から街が望める場所があったので携帯を試してみたら、アンテナが2本.家の yuki に電話を入れた.ついでにGPSで位置確認を・・・

 「明日のこっちの天気はどうだんべが? この万助道を登りに使うのはかなり難儀だっぺよ.
   天気によっては今回の山行を中止にすっかなと思ってさ」
 「60%だってよ」
 「んじゃ、取り敢えず小屋見てから又後で電話入れるわね」

 電話してる最中に又豪雨、慌てて携帯電話しまいザックを担いで降る.豪雨は僅かで切れ、小屋に着く頃には雨は上がっていた.小屋の周りにはハクサンフウロが沢山咲いている.造りもしっかりしてる様だ.扉を開けようとしてガラス越しに中を見たら上がり口(コンクリートたたき)に黒い蛇がいるではないか.こら、駄目だ(汗) 世の中で嫌いな物の筆頭が蛇なのだ.何人かいる場合は良いのだが、一人で蛇がいると判っている所に泊まれない.

 一の滝の駐車場に帰って来たら、それまで小降りだった雨が又豪雨.ザックを後ろに放り込み、車の中で着替えてそそくさと車を走らせた.

 林道の途中に海が見える所で、沈む夕日(但し太陽は雲の中)を見ながら、、
 「山登り、中止にするわい」 と、電話を入れた.

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当レポは
写真撮影だったり適当に歩いたりで、時間やルートは参考になりません.
仮に当レポを見て行かれる場合は予め情報を収集していただき、計画を
充分に立ててから実行して下さい.